人工知能が私たちの生活にもたらす5つの可能性
テクノロジー関連のニュースをチェックしている人にとって、人工知能は決して他人事ではありません。AIは私たちの生活を一変させる可能性を秘めていると言う人もいるかもしれません。リスボンで開催された今年のWeb Summitでも、同様の見解が示され、AIが今年のサミットのハイライトとなっていました。
ここでは、世界最大級のテクノロジーカンファレンスで披露されたAIの5つの用途を紹介します。
1. ヘルスケア
スペインサッカー界のレジェンド、イケル・カシージャスは、不整脈をよりよく検出するためにAIを活用するスタートアップの存在を知り、すぐに投資家として登録しました。
マドリードに拠点を置くIdoven社は、家庭用の心臓モニターキットからのデータを分析して、人々の心臓の健康状態を追跡し、さらに重要なことに、差し迫った問題があればフラグを立てています。
また、AIは多くのメンタルヘルス関連のスタートアップで活用されています。
Woebotは、人々がストレスや不安を解消するために話しかけることができるチャットボットで、AIの情報に基づいて人々の感情の状態を読み取った上で対応を行います。創設者である臨床研究心理士のアリソン・ダーシーは、人が悩んでいるときには、Woebotは問題に取り組むように頼んだり、単に胸の内を打ち明けるように頼んだりすると説明しています。
チャットボットに心の内を打ち明けるのは奇妙で不安だと感じる人もいるかもしれませんが、人は偏見のないロボットに打ち明けることを好む場合があるという研究結果もあります。
2. 無駄を省く
AIは、気候変動にとって一筋縄ではいきません。マサチューセッツ大学の研究者によると、1つのアルゴリズムシステムを学習させると、自動車が一生の間に排出する量の約5倍の排出量になるそうです。
しかし、AIは、セメントの生産からデータセンターの冷却まで、さまざまな産業プロセスの効率化にも貢献しています。埋立地に送るゴミの量を減らすのにも役立つかもしれません。
イギリスのスタートアップ企業であるGreyparrot社は、AIを使って、コンベアベルトを移動するさまざまな種類のゴミを認識しています。プラスチックやガラスなどのリサイクル可能なものを、現在使われている機械ができるよりもうまく選び出すためです。
3. 安全な道路
アイルランドのスタートアップ「Provizio」は、車に取り付けられたセンサーのデータを機械学習で分析する技術を開発しています。創業者のBarry Lunnは、時間の経過とともに、緊急ブレーキシステムが従来の10倍の速さで作動するようになり、交通事故の大幅な削減と予防が可能になると期待しています。
4. コードライティング
AIは近い将来、人間の手を借りずに、自分でコンピュータのコードを書けるようになるかもしれません。
今回のサミットで大きな話題を呼んだのは、ソフトウェア開発プラットフォームのGitHubと研究機関のOpenAIが共同で開発した「Copilot」という取り組みでした。このツールは、人間のソフトウェアエンジニアの意図を理解して、コードの塊をオートコンプリートする機能を持っています。
しかし、ニューヨーク大学の研究者は、AIが書いたコードには約40%の確率でバグが残っていることから、コンピューターにはまだ私たち人間が必要だと指摘しています。
5. ディープフェイク
ディープフェイク技術は、近年、関心が高まっています。この技術は、驚くほどリアルな人物像を作成し、作成者の思い通りに行動させることができるというものです。
今年、俳優のトム・クルーズを模したディープフェイクが話題になりましたが、この技術が詐欺や政治的な操作に利用されるのではないかという疑問が生じました。
ウクライナ人によって設立された米国のスタートアップであるReface社は、ディープフェイクAIをもっと遊び心のある目的に使いたいと考えています。ユーザーは、有名人の頭を自分の頭と入れ替えることができます。同社の共同設立者であるIvan Altsybieev氏は、自分が出演するお気に入りのテレビ番組のエピソードに自分が登場するなど、カスタマイズされたバージョンを作ることができる未来を想像しています。