「テクノロジー革命」の中でどう成長するか
「ビジネスはソフトウェアなしでは成長できません。」これはFUNiX Japanが行った第2回業界レクチャーにてスピーカーであるFPTソフトウェア、シニアバイスプレジデントのNguyen Duc Kinh氏が「100年に1度の大変革の時代を生き抜く」をテーマに行った講演の中での言葉です。

100年に1度のテクノロジーの大変革
Nguyen Duc Kinh氏は現在、FPT Softwareのシニアバイスプレジデントであり、Global Automotive&Manufacturingを担当しています。先日の業界レクチャーでは、自動車産業が直面している困難や自動車産業での“Connecting(つながる)”の流れ、そして学生がこの大変革の中で生き残るために必要なスキルなどの貴重なお話をされました。
Nguyen Duc Kinh氏は、全世界が「100年に1度の大変革」を迎えているとした上で、FPTの日本の顧客を含む企業が直面している多くの技術的課題について言及しました。
同氏によると、従来の自動車製造会社は多くの問題や課題に直面しているといいます。1つ目は、スマートモビリティというトレンドで、クラウドコンピューティングによる自動運転車、車とつながる車、あるいはソーシャルネットワークのインフラ等があげられます。2つ目は「デジタル化」です。かつて自動車メーカーは、エンジンやトランスミッションを中心に、設計も紙に描いていました…。しかし、アナログの世界は徐々にデジタル化され、機械設計、シミュレーション、解析などもデジタル化、自動化されています。また、Google、Tesla、Appleなど、これまで自動車を製造してこなかったテクノロジー企業が、最近になって突然この市場に参入してくるなど、「他の競合」からの挑戦もあります。
自動車業界におけるソフトウェアの必要性について、Kinh氏は、「日本ではまだ7万人の技術者が不足しています。これはよく言われることですが、Microsoft、Amazon、Facebook、Appleといった世界をリードするようなテクノロジー企業は、米国からしか登場していません。中国では最近、Baidu、Alibaba、Tencentなどが登場していますが、日本や東南アジアのテクノロジー企業は、上位に入っていません。ですから、これからはアジアの企業にもチャンスがあると思います」と述べ、これからのアジアの雇用市場にとって「肥沃な土壌」であると語りました。

“ソフトウェアファースト”
Kinh氏は、トヨタ自動車の事例を挙げました。同社は “ソフトウェアファースト “というスローガンを掲げていますが、これはソフトウェアが開発の決定的な部分、最も重要な部分であることを意味しています。クルマは単に走る、止まる、曲がるを知っているだけのものではなく、「コネクテッド・シティ」のようなものになるといいます。トヨタの戦略によれば、2022年までに同社の組織構造をソフトウェア部門とハードウェア部門に分け、製品の更新サイクルを短縮し、定期的に新機能を追加することで、ユーザーに新しい体験等を提供することができると考えられます。
技術的な問題に関連して、Kinh氏は、自動車には最大80〜100台のミニコンピュータが内蔵され、車体、エンターテインメントシステム、カーナビゲーションシステム、安全運転などを制御していると語りました。車には最大1億行のコードが組まれており、これは最新鋭のドリームライナーであるボーイング787の7倍にあたります。また、ソフトウェアは1台車に集中しているだけでなく、ソーシャルプラットフォームや車と連携するクラウドサービスのソフトウェアもあります。
このように、車はIoT(モノのインターネット)デバイスでもあります。車内外のデータは、クラウドにアップロードされ、AIによって分析され、ユーザーや企業に便利なサービスを提供します。
また、Nguyen Duc Kinh氏は、この変革の中で生き残るだけでなく、チャンスを生かすために、若者が得るべき技術やスキルについて提案しました。同氏は、IoTは目的ではなくツールだとし、「ソフトウェアに対してポジティブな考え方を持つことができれば、自分なりの学び方を見つけることができます。それから、一生懸命に勉強しましょう。オンライン学習プラットフォームでは、Coursera、Udemy、FUNiX …. など、学習のためのコースがたくさんあります。今は何でも便利になっているので、あとは皆さんの気持ち次第です。私は皆さんがそれを成し遂げることができると信じています。」と語りました。

Kinh氏は学生に向けて「今後のキャリアアップのために、また、IoTによって生き残っていくためには、C、C++、組み込みソフト…といったプログラミング言語が欠かせないものです。」 と語り、それとともに、クラウドのエンジニアや自動運転車の開発に必要なスキルとして、車のUI、プログラミングスキルC、C ++、Python、また、AIフレームワークの使い方、車両開発に必要なスキル、IoT開発、データ分析などを熟知しておくことが、この業界を目指す若い人たちには必要だとアドバイスしています。
「”ソフトウェアファースト”の時代、ソフトウェアがなければビジネスは進化しない。だからこそ、これからはソフトウェアについて多くのことを学んでいきましょう。ソフトウェアがあれば、この時代を生き抜き、成長することができます」と、スピーカーのNguyen Duc Kinh氏は改めて強調しました。