DXの鍵を握るローコード
現在、深いIT知識はなくてもアプリやシステムを作成できるようになる「ローコード」が注目を集めています。今日はTech Crunch Japanの日本マイクロソフト株式会社加藤氏へのインタビュー記事から抜粋してお届けします。
ローコードは世界の潮流。市場は2023年には510億ドルになるとの予測も
ローコードによってビジネスに精通した事業部門の人間がアプリケーションやシステムをつくれるようになれば、現場に即したかたちで時代の変化に合わせて柔軟に対応にできるようになるうえに、日本の深刻な問題であるITの人材不足も解決の糸口ともなるかもしれません。
ローコードは世界全体のITの大きな流れです。デジタル需要の増加に伴い、今後5年間で新たに5億個のアプリがつくられると言われるなどしている一方でIT人材の供給は追いついていません。そんな中、2024年までには、エンタープライズアプリ開発の65%がローコードになると言われており、グローバルなローコード市場は2023年には510億ドル、サービス機会は1070億ドルにまで成長するとの予測もあります。
ローコードが伸びている背景には、パンデミックによるリモートワークへの移行、デジタルネイティブな世代が働いていること、景気後退によりさらなる業務の効率化が必要になっていることなどがあります。
ローコード開発は、従来のスクラッチ開発より圧倒的に工数や時間が少なく済むため何らかの課題が発生した時、スピーディに対応できます。それによって今まで費用対効果の低さから後回しになっていた分野の開発や業務改善を行うことができるようになり、DX実現の重要な部分を占めます。
日本企業ではデータが各所に散らばっていたり、重複登録されていたり、紙のままだったりすることも多く有益に活用することが難しくなっています。しかし、DXの本質はそれらを統合し、そこからインサイトを得て、投資効果にみあうリターンを創出することにあります。
「ローコード」はITベンダーが新たなステージに飛躍する大きなチャンス
ローコードが世界の潮流といわれている一方で普及に慎重なITベンダーも少なくありません。専門家でなくてもアプリやシステムをつくれるようになれば、自分たちの仕事が奪われていくことにつながるのではないかという危惧があると考えられます。
しかし加藤氏はローコードの流れはITベンダーにとっては大きなチャンスだと考えています。例えばITベンダーがローコードを活用することで、お客様の課題をアジリティに解決していくことができますたり難易度の低いアプリやシステムの開発をユーザー企業側にゆだねることで、より高度で付加価値の高いソリューションや会社全体のDX戦略に専念できるのではないかと語っています。 既存システムの維持や保守業務から、最先端の技術分野へ人材や資金をシフトし、従来の受託型業務からクラウドベースのビジネス・モデルへ転換したりプロフィットシェアできるパートナーとして、ユーザー企業の開発をサポートすることでITベンダーが、新たなステージへ飛躍する契機になると考えられます。
出典:Tech Crunch Japan「DXの鍵はローコード。マイクロソフト「Power Platform」が日本社会にもたらすものとは?」